僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

いつもハキハキしている彼女にしてみれば珍しく、言葉を選んでいるような言い方をする二階堂部長。

「………」

二枚のプリントを持った指先が、血の気を失った。

ずっと学校に来てないっていうことはつまり、不登校ということなのだろう。

あの快活な二階堂部長が言い淀んでいる様子からして、たぶんそう。

不登校になってしまった人は、まるでタブーみたいな扱いをされがちだ。

何ひとつ悪いことなんてしていないのに。

忘れかけていた胸の傷が、またズキンと痛む。

「でも、なんで私なんですか? 知ってる人の方がいいんじゃ……」

「そう、それな。本当は私が行くべきなんやけど、何度行ってもぜんぜん会うてくれへんの。佐方や天宮が行ってもそう。たぶん知ってる人に会うのが怖いんちゃうかな。その点夏生ちゃんは知り合いやないから、高安も気が楽かなと思って」