僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

プリントアウトしたばかりのそれを、部員たちに手際よく配布していく二階堂部長。

「はい、夏生ちゃん」

「でも、私は写真部じゃないですし……」

「だから、来てくれた方が私もうれしいねんって。夏生ちゃんさえよかったら、参加してほしい。お願い!」

前に二階堂部長に合宿に来てほしいと言われたのは、冗談ではなかったらしい。

そんな大げさに懇願されたら、面と向かって断りにくい。

私はためらいがちにプリントを受け取りながら「考えておきます…‥」と小声で答えるしかなかった。

「あ、それから」

思い出したように、さらにもう一枚プリントを渡される。

「夏生ちゃんにもうひとつお願いがあんねん。これ、高安(たかやす)のところに持って行ってくれへん? 家の場所教えるから」

「高安? 誰ですか?」

「高安(わたる)。二年生の、もうひとりの写真部員。ずっと学校来てへんけど、合宿があることは伝えたいから」