そして今では、週に二度は写真部に顔を出している。

部員じゃないけど部室に入り浸っている、ユーレイ部員の逆みたいな存在。

天宮くんは毎回部室にいるわけではなかったけど、会ったときには必ず写真を撮りたいと言ってきた。

天宮くんに写真を撮られるのは、恥ずかしいけど嫌じゃない。

――カシャッ!

小気味のいいシャッターの音。この学校の中でも一・二を争うほどみじめな、元不登校の私をまっすぐに見てくれるあのまなざし。

――カシャッ、カシャッ!

天宮くんのカメラの音は、じめじめとした私の心を奮い立たせる。

光のある方へと導くように、灰色の世界を何度も何度も照りつけてくる。

『夏生さんの写真、また撮りたいって思う』

夕暮れの雨の中で聞いた天宮くんの声が、いつ何をしても、耳の奥深くに絡みつくようにして残っていた。

心が浮ついているような、味わったことのない不思議な気分だった。