僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

ビニール傘を雨が叩きつける音が、いつもより上の方から聞こえる。

天宮くんの身長は180センチくらいあるから、傘の位置も高いのだ。

同じ傘にいるとはいえ、お互い意識して、できる限りのパーソナルスペースをとりながら前に進む。

私の右肩は雨に濡れているし、天宮くんの左肩だってそうだろう。

天宮くんはやっぱり、私の方をいっさい見なかった。

恥ずかしがっているようではないし、かといって興味がないようでもない。

私なんかに写真のモデルを頼んだことも含め、つかめない人だと思った。

「あの……。今日撮った写真って、どうするの? できればすぐに消してほしいんだけど」

「どうして?」

「だって、練習用でしょ? とっておく必要はないと思う」

どこまでも役立たずで、親不孝で、世の中のはみ出し者。