僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

放課後、写真部の部室前まで行ってみる。

お弁当の時間、あの白黒写真のことを長く考えていたせいか、無性に本物を見たくなったからだ。

旧校舎にある写真部は、学校内で一番目立たない部だ。

天宮陽大以外、今まで写真部だという人に会ったことがないし、それらしき人を見たこともない。

案の定、部室の前まで行っても、人の気配は一切なかった。

グラウンドから聞こえてくる運動部の威勢のいい声と、管弦楽部のトロンボーンの練習音が、やたらと大きく耳に響いてくる。

天宮陽大。

掲示板の端に、やっぱり彼の名前はあった。

展示されているのは、前に見たのを同じ、渡り廊下と昇降口の写真だ。

色を失った、誰もいない、静かな静かな空間。

やっぱりここは、私の心の中の世界だ。

喧騒ときらめきから切り離された、はみ出し者だけが見る世界。

――カシャッ!

静けさの中に突然音が降ってきて、私はビクッと肩を跳ね上げた。

心臓をバクバクいわせながら顔を向けた先には、一眼レフのカメラを構えた男子がいる。

思わず後ずさると、彼が顔からカメラを離した。