僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

なのに臆病な僕は、何も行動できずにいた。

そしてすべてがうやむやのまま、母さんが再婚することになり、夏休みの間に新しい父さんのもとへ引っ越しが決まる。

転校によって、彼女とはそれきりになった。

離れればよりいっそう、彼女を救えなかった後悔は増していった。

そんなある日、ぼんやりとSNSを眺めていた僕は、見覚えのある画像に気づく。

太陽を取り囲む輪と、偉人の銅像が真ん中に建つ公園。

生まれて初めて色を見た、あの日のままの情景が、とあるユーザーのプロフィール画像に設定されている。

〝halo〟というアカウント名のその投稿を見ているうちに、夏生さんだと確信した。

そこには、彼女の苦悩が赤裸々につづられていた。

夏生さんは、学校に行かなくなったらしい。

僕はたまらなくなって、アカウントを作り、彼女とメッセージをやり取りするようになった。

自分が何者であるかは、秘密にして。