僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

ブランコに乗ったまま、彼女が僕の方を見て満面の笑みを浮かべた。

僕は大きく目を見開いた。

まるで光をまとったかのように、彼女だけが色づいて見えたからだ。

黒くて艶やかな髪に、生き生きとした色の肌、薄桃色の唇。

生まれてからずっと色のない世界を生きてきた僕にとって、突如現れた色彩は、眼球をえぐられるような衝撃だった。

彼女はポケットからスマホを取り出すと、空を撮影し始めた。

その間も僕は、唯一の色彩を放つ彼女から目が離せない。

彼女が、あんまりきれいだったから。

あとのことはもう、どうでもよくなっていたんだ。