僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

衝撃の告白劇のあとは、中一のときとは違って、何も起こらなかった。

どうやらあの場面は誰にも見られていなかったみたい。

声をかけられたのが人気のない裏門で、本当によかった。

まるで何事もなかったかのように、平凡な日常が繰り返されていく。

過去のトラウマから勝手に怯えていた私も、だんだん気持ちが落ち着いてきた。

そして今度は、逆に彼のことが気になってくる。

ときどき同じ階ですれ違うから、彼もきっと二年生だ。背が高いから、廊下を歩いていても目立っている。

一組の私の教室とは別方向に歩いているから、たぶん四組か五組。

すれ違っても、彼は一ミリも私を見ようとしなかった。

わざと?といぶかしむくらい、あさっての方を向いている。

あの告白は何だったんだろう? もしかして聞き間違い?

それとも、あのバスケ部の先輩みたいに、もうどうでもよくなったんだろうか。