僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

見たままを描きなさい、と先生が言ったからだ。

誰よりも早く提出した僕の無色の絵を見て、先生は不快そうに眉根を寄せた。

『どうして何も塗っていないの? ……あっ』

どうやらその先生は入ったばかりで、僕が色覚障害だということを忘れていたようだ。慌てたように『上手に描けたね』と僕の頭を撫で始める。

『でも、あともうちょっと! 木の部分は茶色に、お花の部分はピンクに塗ってごらん』

クレヨンの箱から、茶色とピンクのクレヨンを取り出して手渡された。

僕はクレヨンを手に、呆然と描いたばかりの絵を見つめる。

見たままを描けって言ったのに……。

まるで自分の見ている世界を否定されたようで、言いようのない孤独が押し寄せた。

ほかの子供たちは、木や花に、楽しそうにクレヨンで色を塗っている。

周りと同じようにできない僕は、欠落品なのかもしれない。

虚しさはいつまでも消えなかった。