僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

自分が人と違うとはっきり認識したのは、幼稚園の頃だった。

あか、みどり、きいろ。

その何かは、クレヨンに書かれている文字で区別するよく分からないものと思っていたけれど、僕以外はそうではないらしい。

どうやらこの世には、僕が知らない〝色〟という概念が存在するようだ。

僕が色覚障害だということは、母さんから幼稚園の先生に話がいっていて、特別なサポートを受けていたから不便だと感じることはなかった。

空は水色、太陽は赤、木は茶色、葉っぱは緑、花はピンク。

これはこういう色だというのを、頭に機械的に擦り込んでいく。

おもしろみのない作業だった。

あるとき、満開の桜の絵を、何も塗らずに出したことがある。