僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

バカな私には、ベストな断り方が見つけられない。

かといって、見ず知らずのこの人と付き合うのも考えられない。

「あ、あの……」

怯えながら彼を見るしかなかった。

そもそも、どうして私が選ばれたのか分からない。

私は美少女ではないし、目立つわけでもないのに。

それにこの人のことを一ミリも知らないし。

バドミントン部の先輩とは、少しだけ接点があった。

それにあの頃は中学に入ったばかりで告白ラッシュが続いていて、学校全体の雰囲気がどこか浮かれていた。

きっとあの先輩は、私のことなんて本気で好きじゃなかったんだと思う。

ただ彼女がほしくなった頃に、手頃そうなのが入部してきただけ。

その証拠に、夏休み前、私の知らない女の子と手をつないで下校しているのを見たことがある。

私の方になど、見向きもしなかった。

避けているのではなく、告白したことなど本気で忘れているような雰囲気で。

でも、この人の場合はもっと分からない。

「あ、嫌ならいいです」

結局彼は、私が返事をする前に、目すら合わせないまま逃げるように去っていった。

名前も知らない彼の白シャツの背中が校舎の影に消えるまで、私は呆気にとられたまま見送っていた。