僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

『あの写真は、僕の見ている写真を再現しているだけ。写真で嘘はつきたくないから、ありのままに加工するようにしてる』
 
霞病患者が彩色現象で色を見るのは、恋をしたときだけ。

彼の想いが、七年という隔たりを経て、苦しいほど胸に伝わってくる。

文字でも言葉でもなく、彼が見たそのままの色鮮やかな情景が、この世の何よりも強く恋心を訴えかけてくる。

『あのさ、俺……』

桜舞う中で言い淀んだ不器用な彼の想いを、ようやく今知ることができた。