僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

「あったかいな……」

頭上で、天宮くんがぽつんと言った。

彼はもう、震えてはいなかった。それでも私は、離れたいとは思わなかった。

「うん、あったかいね」

私たちは大通りの片隅にあるどこにでもあるようなマンションの陰で、そうやっていつまでも、互いの心を支えるように抱き合っていた。

耳のすぐそばで、ドクドクと彼の鼓動が鳴っている。

心臓の音なんて怖いようだけど、彼の奏でる音なら、ずっと聞いていたかった。

どれくらい、そうしていただろう。

やがて、天宮くんの胸の中にいる私を呼び覚ますようにまばゆい光が降り注ぐ。

雲が風に流され、太陽が顔を出したようだ。 

彼の温もりを感じながらそろりと視線を上げた私は、目を見開いた。

淡く輝く太陽の周りを、色彩の輪が取り囲んでいたからだ。

一生に一度、今しか見えない、特別な色とりどりの光。