僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

視点の定まらない瞳でしきりに震えている天宮くんを見ていたら、心臓を握りつぶされるような、たまらない気持ちになった。

込み上げてきた悔しさで目元が熱くなる。

天宮くんから、色だけでなく視力を奪うなんて神様は残酷だ。

天宮くんは、シャッターの音ひとつで私の世界を変えたくらい、すごいカメラマンなのに。

泣いちゃダメだ、つらいのは私じゃなくて天宮くんなのに。

弱い自分、消えろ。

今の私にできることは――

私は両手を伸ばすと、震えている天宮くんの体をきつく抱きしめた。

私よりも頭ひとつ分背の高い天宮くんだけど、今はずっと小さく感じる。

消えてしまわないように、闇に沈んでしまわないように。

強く強く、精いっぱい力を込めて彼を抱きしめる。

「大丈夫だよ、天宮くん。私はここにいるから」

暗闇の中にひとりぼっちでいる彼に、精いっぱい声を届ける。