僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

私は天宮くんを、近くにあるマンション前の植え込みに座らせた。

寄り添うようにして隣に座り、両手をぎゅっと握りしめて、暗転症状と闘う彼を見守る。

天宮くんの目は、やはり前を見ているようで見ていない。

その茶色い瞳が見ているのは、おそらくこの世界ではなく、永遠に続く闇の世界。

天宮くんの呼吸が細切れになり、額に汗が浮かぶ。

「ごめん、夏生さん。ちょっとしたら落ち着くと思うから……」

そう声を振り絞る彼の肩は、見てはっきりと分かるほど震えていた。

暗転症状がもたらす恐怖は想像を絶するものだと、霞病について検索するようになってから知った。

いつ終わるかも分からない暗闇に、耐えがたい閉塞感。脈拍が上がり、呼吸もしづらくなる。

失明を宣告されている天宮くんなら、恐怖もなおさらだろう。