僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

体のバランスを失ったかのようによろめくと、私とつながっているのとは反対の手で口元を覆い、深くうつむく。

「どうしたの……?」

ただならぬ気配に動揺する。天宮くんの顔は血の気を失い、茶色の瞳が、どこを見るでもなく宙に向けられていた。

「ごめん……あれが出たみたいだ」

天宮くんがかすれ声で言う。

ヒヤッとした危機感が、私の背筋を駆け抜けた。

あれとはたぶん、暗転症状のことだ。

霞病特有の症状で、天宮くんを悩ませている深刻な症状。

暗転症状になると突然視界がブラックアウトし、得も言われぬ不安から、精神的に混乱をきたす。

天宮くんがたびたび学校を休んでいたのも、長期入院を余儀なくされているのも、すべては暗転症状のせいだ。

天宮くんを苦しめるその忌々しい症状を、私が目の当たりにしたのは初めてだった。

長時間の外出がいけなかったのだろう。

「ここに座って」