僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

私はその手を、迷わず固く握りしめた。

学校から駅までの道、駅の構内、電車の中。

私たちは、決してつないだ手を離さなかった。

天宮くんの手から伝わる温もりが、じわじわと私の全身を巡っていく。

見上げた三月の空は、見たこともないほど優しい水色をしていた。

春の始まりを予感させるまぶしい世界。

見たばかりの桜の景色が、いまだに私たちを取り巻いているみたい。

心を許している人がそばにいるというだけで、人はこんなにも満たされた気持ちになるんだ。

この時間が永遠に終わらなければいいのに。

このままずっと、天宮くんの手を握っていられたらいいのに。

彼が、ひとりで闇の世界に沈んでしまわないように――。

病院に向かって、大通りを歩いているときのことだった。

「……!」

突然、天宮くんがビクッと肩を揺らした。