僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

パイプ椅子に座り、グラウンドから聞こえるサッカーの応援の声に耳を澄ませた。

二階堂部長も佐方副部長もいない休みの日の部室は、見慣れているのにいつもとは違う雰囲気がただよっている。

それでも、やっぱりこの場所はすごく落ち着いた。

天宮くんは部室でよくそうしていたように、本棚から写真集を取り出して眺めていた。

そうやって本棚にある本を活用しているのは、私が知る限り、写真部で天宮くんくらいだった。

二階堂部長は興味がないようだし、佐方副部長はいつもカメラのメンテナンスにかかりっきりだから。

「天宮くん、写真集見るの好きだよね」

「うん。ここにあるのは死んでしまった写真家のものばかりだけど、彼らの写真に込めた思いは今もこうして、日本で平凡な高校生してる僕たちのもとに届いている。それってすごいことだなと思って」

「うん、なんとなく分かる」