僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

天宮くんは、いずれ失明する。

失明したら暗転症状もおさまり、いつくるか分からない精神混乱に怯えることなく、病院の外で暮らせるようになるのだろう。

だけどそのとき、天宮くんは何も見えなくなっている。

それなら、目の見えるうちに、いろいろなものを見ておきたいのは当然だ。

「……どこか行きたいところがあるの?」

ちっぽけな私に何ができるかなんて分からない。

だけど、どうしても天宮くんの願いを叶えたいと思った。

誰かに咎められても、非難されても、迷惑をかけても構わない。

ほかの誰でもない。今この瞬間、私だけしか、天宮くんの切実な願いを叶えることはできないのだから――。

結んだ手のひらにぎゅっと力を込める。

すると天宮くんも私の手をきつく握りしめて、「学校」と答えた。

「久々に、写真部の部室に行きたい」