僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

カメラを構えているときによくする真剣な目とは、また違った熱を感じる。

まっすぐで、ひたむきで、どこかしら寂しげで――。

「……ううん、なんでもない」

だけど天宮くんは、言いかけた言葉をのみ込んだ。

天宮くんが何を私に伝えたかったのか気になったけど、彼がまたしきりに私を撮るものだから、聞く機会を逃してしまった。

「天宮くん、そろそろ戻ろう。看護師さんたちが心配してるかもしれない」

ある程度の時間が過ぎたところで、そう声をかける。

天宮くんは素直にうなずいて、私たちはまた手をつなぎ、土手を離れることにした。

だけど大通りへと続く階段を上っている途中で、天宮くんが突然動かなくなる。

「どうしたの?」

「……戻りたくない」

天宮くんは身を固くして、うつむき、唇を噛みしめている。

こんな駄々っ子のような彼の姿を見るのは初めてで、私は急に泣き出したい衝動に駆られた。