僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

それでも、中学生がいるはずのない時間に家にいる私に向けられる両親の絶望と焦りは、一見して明るい家族を装いながらも、常に空気を重くしていた。

そんなところにだけやけに敏感な私は、すぐに感知してしまうのだ。

両親は私の味方のようでいて、本当は見えない敵だった。

学校にも、家にも居場所をなくした私。

六畳のちっぽけな自分の部屋で、なるべく誰とも関わらないよう、息を潜める日々。

学校に行かなくなってしばらく経った頃、学校から打開策を提案された。

今の世の中、不登校の子はわりといるみたいで、それなりのシステムができつつあるらしい。

毎日学校が指定したサイトでオンライン授業を受け、定期的にその成果を先生に報告しに行く。

そうすることで出席扱いにしてもらえた。テストは別室で受けて、決してよくはないけど、内申点もまずまずもらえた。

学校に行かなくても高校受験はできるし、また世の中の波に乗れるチャンスはある。

それが分かった頃から、私がいつも家にいることによって生じていた重苦しい空気が、和らいでいた。

要するに、お母さんは〝世の中からはみ出していない子の親〟に戻れる可能性があることに安堵したんだろう。

嫌悪感を抱きつつも、私はお母さんがじわじわと醸し出す期待のまなざしに逆らえなかった。

そして、地元の子に会わないよう、家から二時間もかかる学校を選んで受験し、どこにでもいるような平凡な高校生に戻ることになったのだ。