僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

複雑な思いで天宮くんの病室に行くと、彼はお昼寝中だった。

窓から降り注ぐ真昼の光が、ベッドに身を投げた彼の横顔を照らしている。

筋の通った鼻に、薄い唇、長めの睫毛。

白い光の中でかすかに胸を上下させている彼は、どこか儚く、そしてきれいだった。

彼が目覚めたらこの一瞬が消えてしまうのが、なんだかもったいなくて。

私はスマホを取り出すと、天宮くんの寝顔を写真におさめる。

だけどカシャリと音が鳴ってしまったせいか、気持ちよさげに眠っていた彼の瞼がぴくりと動いた。

「今、写真撮った?」

まだ少し眠そうな茶色の瞳で、天宮くんが聞いてくる。

「ごめん。なんか、もったいなくて」

うろたえるあまり、わけの分からないことを口走ってしまう。

すると天宮くんは薄く微笑んで、「スマホ、貸して」と手を差し出してきた。

手渡すと何やら操作して、私に身を寄せながらスマホを掲げる。