僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

写真を撮られて、色の話をして、どうでもいいような会話をしているだけだ。

天宮くんの状態が落ち着いているんだとしたら、それは天宮くん自身とお母さんの頑張りによるものだ。

「いてくれるだけでうれしいのよ」

女神のように優しい笑みを浮かべる、天宮くんのお母さん。

「だから彩葉ちゃんには、本当に感謝してるわ」

それから私たちは他愛ない会話を交わして別れた。

去っていく天宮くんのお母さんの背中を見送る。

うつむき加減の背中は細く、まるで泣いているようだった。

夏休み、駅で偶然会ったときも、天宮くんのお母さんは泣いているみたいだった。

胸が張り裂けそうだ。

息子が失明しかけているのに、つらくないわけがない。

天宮くんと、天宮くんのお母さんが抱える悲しみがあまりにも大きくて、やるせなくなる。

だけど私には、天宮くんの近くにいることくらいしかできなくて、悔しさが込み上げる。