【霞病・かすみびょう】

後頭葉に異変が起こり、視覚機能が正常に働かなくなる、原因不明の先天性の疾患。色覚認知機能に欠損を生じ、暗転症状と呼ばれる一時的な失明をたびたび引き起こす。進行すると完全に失明する。合併症によって、脳が損傷して死亡に至った症例もある。失明までに霞のようにはっきりと見えなくなる状態が続くことから、この病名がつけられた。


病院で天宮くんに衝撃の告白をされた帰り、電車の中でスマホを開き、霞病について調べてみた。

死亡――衝撃的な言葉が目に入り、ショックを受ける。

震える指先で【霞病 死亡】と検索した。

死亡にまで至るケースはかなりまれで確率は一パーセントとの記述に、ホッと胸を撫でおろす。

呆然としたまま、窓の向こうを流れる景色に目を移した。

いつの間にか日はすっかり落ちていて、闇に覆われた空に白い月が浮かんでいる。