僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

「弟と同じ病室で天宮くんを見たっていう友達がいて、もしかしたらと思ったの」

「ああ、昨日まで大部屋だったからか。あ、ごめん。よかったら座って」

天宮くんが体を起こしながら、ふたりがけのソファーに視線を向けた。

「うん、ありがとう」

そそくさと、ソファーに腰かける。

ベッドの上にあぐらをかいて座る天宮くんと、ソファーの隅にちょこんと腰かけている私。

重い沈黙が、私たちの間に落ちた。

考えてみれば、一緒に写真展に行って以来、天宮くんとは口をきいていない。

私が勝手に落ち込んで彼を避けていただけなんだけど、そういうことから話した方がいいのか、天宮くんが入院していることから触れたほうがいいのか、考えてしまう。

口火を切ったのは、天宮くんだった。

「黒瀬だったこと、ずっと黙っててごめん。言おうと思ったんだけど、どうしても言えなくて。あのときのこと、今でも後悔してるから……」