僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

知り合いのひとりもいない高校にはどうにか行けたけど、私が不登校だということが知れ渡っている中学には、絶対に足を踏み入れたくなかった。

中学の写真をうっかり目にしたり、似た制服を見たりしただけで、今でも動悸がするほどなのに。

だから高安くんの行動力は、本当にすごい。

「高安。ほら、夏生さん連れてきたで」

さっきまで興奮していたはずの二階堂部長が、突然いつもの調子で言う。

二階堂部長も高安くんが緊張しているのに気づいて、場を和ませようと、どうにか平生を装っているんだろう。

二階堂部長はお喋りだけど、そういう優しさをちゃんと持ち合わせている人だ。

一瞬だけ、また高安君と目が合う。やっぱり、何も言わない。

次第に私の方が緊張してくる。