僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

「じゃあ違うのかな。おとついね、中学生の弟が部活中に怪我して、検査入院したの。それで昨日退院だったから病室まで迎えに行ったんだけど、隣のベッドに天宮くんによく似た人がいた気がしたから……。カーテンの隙間からちらっと見ただけだから、見間違いかもしれないんだけど」

「病室の入口に、入院中の人の名前って書いてない? 確認した?」

石川さんが、紙パックのジュースを飲みながら聞いてくる。

「あ、そっか。急いでたから見るの忘れてた」

天宮くんが一週間学校に来ていないと言った、二階堂部長の言葉を思い出す。

入院……? 考えてもいなかった。

でも、休みが多いだけにあり得ないことじゃない。

「どこの病院?」

聞いてみると、H大附属病院、というこの近辺では一番大きな総合病院の名前が返ってくる。

私がお見舞いに行くとでも思ったのか、染谷さんが慌てたように付けくわえた。

「あっ、でも見間違いの可能性もあるよ?」

「うん、分かってる。念のため聞いただけだから」

そう答えたけど、胸の中は胸騒ぎでいっぱいだった。

天宮くんが入院中かもしれない。

だけどなんの病気で?

色覚障害のせいではないだろう。普段は特に問題なく生活しているのに。

もしかしたらメッセージに返事がなかったのは、天宮くんが入院していたから?

だとしたら、返信できないほど状態がよくないってこと?