僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

写真展に行ってから、二週間が過ぎようとしていた。

染谷さんたちとお弁当を食べていた昼休み、思いがけない人が教室にくる。

ふくれっ面の二階堂部長だ。

「ちょっと、なんで部活来おへんの? さみしいやん」

「すみません……」

この複雑な感情を、言葉にする語彙力も勇気も、今の私にはなかった。

つらい過去を急に思い出して、前に進めなくなったなんて、理解できない人にはまったく理解できないだろう。

でも、それが私だった。

変わろうとしても変われない、消えてしまった方がいいくらい弱い人間。

「まあ、来てもたいしたことはしてへん部活やけどな。とにかく、今日は来れそう?」

二階堂部長に急き立てられ、逃げられない空気の中、仕方なくうなずく。

「はい、大丈夫です」

放課後おそるおそる向かった写真部の部室に天宮くんはいなくて、ホッと胸を撫でおろす。

その後も、毎回というわけではないけど部活にはたびたび足を運んだ。

だけど、天宮くんの姿はいつもない。

ホッとすると同時に、だんだん心配になってくる。

「……天宮くん、最近見ないですね」

勇気を振り絞って二階堂部長に訊ねてみた。

「なんか、一週間前からずっと学校休んでるみたいやで」

「え、一週間もですか?」

今まで天宮くんは、たびたび学校を休むことはあっても、連続して休むことはなかったように思う。

「さすがにちょっと、長いよな」

いつになく神妙な顔をしながらパソコンをタイピングしている二階堂部長を見て、得体のしれない不安が胸に渦巻いた。

悩んだ挙句、私は寝る前に天宮くんのトークアプリにメッセージを送ることにした。

《学校休んでるって聞いたけど、大丈夫?》

勇気を出して、送信を押す。

だけど何日待っても〝既読〟にならず、もちろん返信もなかった。

そして気づけば、十一月も終わろうとしていた。