僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

雨の日が続いていた。

写真展の帰りの一件以来、私は部活を休んでいた。

山西くんとの再会によって復活した心の傷は、いまだに私を痛めつけていた。

山西くんと実は友達だった天宮くんにも、どんな顔をして会ったらいいか分からない。

うんざりするほどの自分の弱さが嫌になる。

今日も、写真部には行かずに帰ろう。

帰りのホームルーム中、窓際の席から、雨降模様のグラウンドを眺める。

どんよりとした空からひっきりなしに降り注ぐ雨が、世界を灰色に染めていた。

私の心も同じ。あっという間に、灰色に戻ってしまった。

写真を用意して、高安君の家に行くこともなくなる。

こんなことを続けても、意味がないように思えてきたからだ。

たいして仲良くもない部活仲間から、定期的に風景の写真が送られてくるなんて、高安くんにしてみれば迷惑なだけだろう。

私は高安くんに、自分のエゴを押しつけていただけなのかもしれない。

今までの私の方がおかしかったのだ。

あるべき状態に戻っただけ。

こんなささいなことで落ち込むくらいなら、遅かれ早かれこうなっていた。

それだけの話だ。

ふいに、高校の入学式の翌日に見た、ぐちゃぐちゃの桜を思い出した。

昨日までは満開で人々を笑顔にしていたのに、昨夜の雨ですべて散ってしまったのだ。

細い雨に打たれただけで、すぐに終わってしまう桜の花。

その儚さがきれいだなんていう人もいるけど、妄言だ。

儚さは醜さだ。

儚い運命のもとに生まれたものは、一生醜さを抱えて生きていく。