僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

天宮くんの声に安心したのか、狭まっていた視界が、ようやくクリアになっていく。

気づいていなかったけど、バッグを持つ手が震えていた。

「…‥うん、そうする」

「ん? え?」

山西くんが、天宮くんを見て頓狂な声を出した。

「まさか黒瀬!? めっちゃ久しぶり! ていうか、すげえ背ぇ伸びてるじゃん!」

ものすごい勢いでからまれ、天宮くんは動くに動けないようだった。困ったようにうつむき立ち止まっている。

そりゃそうだ。天宮くんは黒瀬という人ではない。

「黒瀬が夏生さんのツレなの? え、なんで?」

「気づけよ、山西」

山西くんの友達が山西くんを肘でつついた。

それから、もうひとりの友達と一緒になって、ひやかすように言う。

「見れば分かるだろ」
「こいつ気が利かねー」

「あ、ごめん。付き合ってんの?」 

仲間に茶化され、山西くんが合点がいった顔をする。