僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

私は気を取り直すと、慎重に言葉を選びながら、不思議な雲の色合いについて説明した。

「たぶんすごく珍しい雲だよ。たしか、〝彩雲〟っていうんじゃなかったかな」

「へえ、くわしいね」

「うん、昔ちょっとだけ調べたことがあるの。日暈っていうのを見たことがあって……」

SNSのプロフィール画像にしている日暈を撮ったときの思い出を、私は天宮くんに話した。

「太陽の周りを虹色の輪が取り囲む、珍しい現象らしいよ。それから気になって虹のことをいろいろ調べているうちに、彩雲についても知ったの」

輝く太陽に、きらめく七色の光。

この世の希望をぜんぶ集めたみたいな光景だった。

日暈を見たときの感動を思い出すと、 何もかもが色鮮やかに輝いて見えた、

あの頃の感覚がよみがえる。

また、カシャッとシャッターの音がする。

いつの間にか、天宮くんがあのカメラマンの目で、また私を撮っていた。