僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

天宮くんは、〝くろすけ〟のことを語る私の声を、ときどきうなずきながら聞いていた。

変な気分だった。

中学校時代に不登校だったことは私の最大の秘密で、〝くろすけ〟について誰かに話すなんてもってのほか。

それでも天宮くんにこうして話すことができたのは、彼なら私のすべてを受け入れてくれると思ったからだ。

〝くろすけ〟について誰かに話せただけで、不思議と気持ちがスッとする。

新鮮な気分で空を見上げた瞬間、私は目をみはった。

色とりどりの、不思議な雲が浮かんでいたからだ。

赤、黄色、緑、藍色。まるでオーロラのように、青い空をふわふわとたゆたっている。

「天宮くん、み――」

見て、と言いかけて口をつぐんだ。

色の見えない天宮くんに、あの色とりどりの雲は認識できない。

だけど天宮くんは、私の動揺にすぐに気づいたようで。

「どうかした?」

「あそこにね、虹色の雲が浮かんでるの」