僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

一生懸命言葉を振り絞っている私を、天宮くんはただただ撮影している。

それからカメラから顔を上げて、いたずらっぽく微笑んだ。

天宮くんはいつもそうだ。

私が懸命に色の説明をしても、生返事をするだけで、ポートレイトの練習に夢中だった。

どうやら色の説明を期待しているというより、頭を捻っている私を撮るのが好きらしい。 

そういう天宮くんのちょっと悪趣味なところには、拍子抜けするけど安心もするのだった。

「あのさ、前から聞きたかったんだけど、どうやって高安に写真を持っていくことを思いついたの? 手紙でもよかったはずだ」

「文章だと、伝えたいことが限定的になるでしょ? 家から出てほしいとか、学校に来てほしいとか。そういうの、不登校の子にはつらいと思うの。期待されても、そのとおりにできないから、余計に自己嫌悪におちいっちゃって。私がそうだったから……」