僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

色覚障害の彼には、線だけの、無色な花が見えているだけ。

合宿のときもそうだ。

丘陵公園全体を彩っていた花の色鮮やかさも、天宮くんの目は認識できない。

天宮くんが色覚障害だと知ってから、私は色が人にもたらす作用について調べてみた。

色彩は、人の心や感情に、思った以上に大きな影響を与えている。

明るい色に囲まれていると、人は幸福を感じるらしい。

――花の色すら知らない。

そのことが、これまで天宮くんに、どれほどの孤独をもたらしたのだろう。

自分だけ色が見えないという疎外感と、色の影響を受けない虚無感。

切なさに、胸の奥がぎゅっとなった。

「マリーゴールドの色は、心が大きな優しさに包まれているときの色、かな」

天宮くんの孤独に寄り添えるよう、少しでも色の概念が伝わるよう、一文字一文字を大切に言葉にする。

すると、カシャッとまたシャッターの音がした。