僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

家に帰ると、ダイニングテーブルの上に冷やし中華が用意されていた。

「おかえりなさい。いい写真撮れた?」

キッチンで食器を洗いながら、お母さんが聞いてくる。

お母さんは、この頃私がよく外出するのを喜んでいる。

だけどさすがに男の子とふたりで出かけるとは言いにくくて、今日は写真部のみんなで写真を撮りに行く、と伝えていた。

うまくいっているように見えても、私の本質は何も変わっていないのに、表面的なところだけを見て勝手に喜ぶお母さんには相変わらずうんざりしている。

だけど天宮くんのおかげで、お母さんを見る目が少し変わった。

「うん、まあまあ」

「どこに行ったの?」

串ヶ浜(くしがはま)

「そう。前から言ってるけど、カメラほしいなら買ってあげるのに」

「カメラ買うほどまで真剣に打ち込んでないから」

適当に返事をしながら、ダイニングチェアに座った。

中華麺の上にきれいに盛り付けられた、錦糸卵、ハム、きゅうり。

私が好きなカニカマとオクラも乗っている。

うざい、うっとうしい、押しつけがましい。

お母さんに思うことはたくさんある。