僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

「嫌になることもあったけど、母さんだって僕と同じ人間だから、うまく伝えられないこともあるだろうって考えることにしたんだ。思いを一方通行に感じたとしても、僕のことを第一に考えてくれてるのはたしかだし」

――完璧な人間なんていない。

いつか天宮くんに言われた言葉が、記憶の底からよみがえってきて胸を打つ。

「自分を大事にしてくれる人を大事にして生きるって、決めたから」

まっすぐ前を向いてそう言った天宮くんに、目をみはる。

お母さんの立場を考えられる天宮くんはすごい。

私よりも、ずっとずっと大人だ。

同年代というくくりにいながら、天宮くんが遥か先を歩いている気がして、私は何も言えなくなった。