僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

海岸でまったりと過ごしたあと、私たちはまた電車に乗り、待ち合わせをした駅に戻った。

改札を抜けた先で、そろそろお別れという空気になる。

朝早くに待ち合わせしたから、まだ昼過ぎだ。夏休みの駅の構内は、子供連れや、中高生っぽいグループが目立っていた。

また会える?と聞きたいのに、恥ずかしくてなかなか聞けずにいた。

天宮くんに写真を撮られるのは好きだから。

それに今日、彼に満足に色を伝えられなかった。自分の語彙力のなさが原因なんだけど、できればまたリベンジしたい。

「陽大?」

すると、四十代くらいの女の人が声をかけてきた。

ベージュのタイトスカートに白のシャツ、長い髪をうしろで束ねている。

お母さんと同じくらいの年だけど、ショートカットでいつもデニムパンツのお母さんより上品なイメージだ。

「……わっ」

天宮くんが、目に見えてうろたえた顔をした。