僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

――ああ、また始まってしまった。 

翌日の昼休み。

四限目が終わったとたん、湧いたようにざわついた教室の中で、私はひとりうつむきながらお弁当を机の上に出していた。

星羅はチャイムが鳴って早々に、お弁当を持って大股に教室を出て行った。

こんなところに私の居場所はないと、周りにアピールするかのように。

お弁当を食べたあとは本を読む予定で、学校の図書室で借りた本を机の奥に忍ばせている。

本さえあれば、人と関わらずに本を読みたい人、っていうスタンスを保てるからだ。

実際は読書はそこまで好きではないけど、ただうつむいて座っているよりよほどいい。

「あれ、天宮じゃん!」

すると誰かのそんな声が耳に飛び込んできて、私はお弁当を広げようとした手を止めた。

「久しぶり。なに? 誰か探してんの?」

教室の入り口付近で、天宮くんとクラスの男子が話しているのが目に入る。

私の前あたりで机を囲んでいた女子たちが、ヒソヒソとざわめいた。

「あっ、見て。四組の天宮くん」

「天宮くんって、あのめちゃくちゃ頭いいって人?」

囁かれた天宮くんの噂が意外で、思わず聞き耳を立てる。