ーー新学期が始まってから数日経った、九月上旬のある日。

授業の合間の休み時間に友達が内緒話をするかのように手を添えてきたので、何かと思って興味深く耳を貸すと…。



「あーりん、谷崎の事好きでしょ」



心の中に秘めていたはずの谷崎くんへの想いは、何故か友達にはお見通しに。
友達はニヤケ眼で私の反応を見ているが、正直者は嘘をつけない。



「えっ…えっ………」

「そんなに真っ赤な顔して動揺してるって事は……。まさか、私達に気持ちがバレてる事に気付いてなかった?」


「えっ、あの……。えっ!」

「あはは、あーりんって分かりやすすぎ」



友達に気持ちが見透かされていて恥ずかしかったけど、自分自身まだ気付いてなかった。

以前から谷崎くんに好意を持っていたけど、それがまさか恋だったとは……。