ーー中間テスト結果の一覧表を受け取った日の夕方。

帰宅してからテスト結果を楽しみにしている母に謝意を表し、恐る恐る頭を下げながら震える両手でテスト結果の紙を差し出すと…。



「勿体ぶらないで早くテスト結果を渡しなさい!」

「あっ……」



母はパシッと勢いよくテスト結果表を取り上げ、結果にマジマジと目を通すと表情が一変した。

結果は……、言うまでもない。
母の深いため息が全てを物語っている。



愛里紗は鳥肌で全身の毛を逆立たせながらも、母の腕を掴んでウルウルと切実な目を向けた。



「お母さんお願い。次こそ絶対に頑張るから。塾なんて行きたくない」

「ダメよ!もうお父さんと決めたの。以前、中間テストの結果次第で塾に通うかどうか決めるって約束してたでしょ」



テスト結果のトータル順位は、上からよりも下から数えた方が早い。
勉強をサボって遊び呆けてた事が仇となり、結果として残されてしまった。



母は制止する愛里紗を振り切ると、目処をつけていた塾の夏期講習の予約の電話を入れた。




はぁ…、ヤダなぁ。
今は彼氏どころか好きな人すらいないし、バイトすらしていない。
女子高生としてリア充していないのに、塾なんて行きたくないよ。
高校受験の時に散々通ったじゃん。



しかも、中二から塾に通い始めて死ぬ気で勉強したのに、制服が可愛くて第一志望だった公立には落ちたし。

あの時は、雨の日だって雪の日だって休まず塾に行ったでしょ。

ただですら塾に通うのがシンドイのに、あの緊迫した雰囲気が耐えられないんだよね。