ーーあれは、中学生の頃。

仲良し女子三人組のうちの二人が、三人組の男子二人と順々にカップルとなっていき、自然と男女計六人のグループが誕生した。

下校後や休日も互いの家で遊んだり、六人で電車に乗って遠出をしたり。



でも、二組のカップルに挟まれるように取り残されたひとり者の私とひとり者の彼は、何となく周りに影響されて、自然とペアで行動する事が多くなり次第に親密度が増していった。



彼は性格が明るくて趣向を凝らして話すタイプ。
だから一緒にいると楽しかった。


谷崎くんとの思い出は引きずり続けていたけど、変わらなきゃいけないと思う反面、グループの雰囲気を壊したくないという事もあって、最終的に彼の告白を受け入れてメデタくグループ交際の一員に。




でも、いま当時の気持ちを思い返してみると。

好き…?
いや、なんか違う。

六人で一緒にいる時は楽しいんだけど、彼と二人きりになると何故か気まずかった。
その理由は最後まで分からず終いに。



だから、咲を見ているとあの時の自分は恋とはまた違うものだと感じさせられてしまう。


私が受験に失敗したせいもあって彼とは別々の高校に。
卒業を機に彼とは連絡を取らなくなった。



音沙汰がなくなってしまったせいで、彼が今どうしてるかわからない。
家は近所だけど、地元で一度も鉢合わせなかった。