グイッ いきなり左腕を引かれて、転ける!と思った瞬間、誰かの胸に倒れ込んだ。 顔を上げると、ニコッと王子様スマイルをキメている奏で。 「え!なになに!イケメン!」 「こっちも王子!」 「制服王子とプリンセスも良くない!?」 「キャーッ!」 なぜか更に人が増え始め、奏と私にカメラが向けられる。 奏は私を抱き寄せたまま、離そうとしない。 「鈴?俺、怒ってるよ?」 そう言って、私に笑顔を向ける。 ヒィッ 笑ってるけど、笑ってない。