「チッ」

 将軍は、食堂に一歩足を踏み入れるなり舌打ちをした。

 一瞬、その憎たらしい表情に見覚えがあるような気がした。

 気のせいよ、気のせい。

 頭にカッと血が上らないよう気をそらす為に、頭の中の記憶領域が錯覚か幻想かを見せたのかもしれない。

 落ち着きなさい、わたし。

 もう何十度目か、自分に言いきかせる。