「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました

「お兄様っ」

 思わずお兄様の背に叫んだけど、なにか言いたいことがあるわけじゃない。

 お兄様もそれをわかっている。彼は背中を向けたまま、左手をヒラヒラさせた。

 シュエットがお兄様越しに顔をのぞかせ、手を振ってきた。

 あの子、やっぱり可愛すぎる。