「お兄様っ」

 思わずお兄様の背に叫んだけど、なにか言いたいことがあるわけじゃない。

 お兄様もそれをわかっている。彼は背中を向けたまま、左手をヒラヒラさせた。

 シュエットがお兄様越しに顔をのぞかせ、手を振ってきた。

 あの子、やっぱり可愛すぎる。