「ひきこもり王子」に再婚したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、仰せのままに従うことにしました

 全力で振り払った。右手首をつかんでいるお兄様の手を。

「くそっ!リンッ」

 お兄様の狼狽の叫びを耳でとらえ、クルリと背を向け走りだそうとして……。

「なーんてな。ひっかかるものか。そんな嘘泣きにな」

 左肩をがっしりつかまれてしまった。

「どうしてよっ!汚いわ」

 ヒステリックに叫んでしまった。