馬上、じたばたとあがいた。

 馬にはかわいそうなことをしている。
 ごめんねって心の中で謝りつつも、あがき続ける。

 どうしても、お兄様といっしょにいたくない。

「やめないか、リン。落ちるぞ」
「だったら、その手をはなして。いっしょにいたくないのよ」
「なぜだ?あの男のどこがいい?あのままいっしょにいたら、おまえも死ぬことになるんだぞ。あのときもせっかく助かったんだ。その後も、おまえだけはと助けてきたつもりだ。リン、暴れるのはよせ」