「どうした?」
「調理兵に屋敷に食材を届けに行かせたのです。屋敷に男女の物乞いが居座っているらしく、質すと『無礼者がっ!おれは、王太子だぞ』と言い、さらに『ひきこもり王子を連れて来い』と叫んでいるとか」
「男女?」
「はい。レディは、『妹がいるのよ。妹を出して』というようなことを叫んでいるそうです」
「なんてことだ。こんなときに」
「なんてことかしら。こんなときに」

 クロードとわたしの言葉がかぶさった。

 屋敷に居座っている男女の物乞いの正体。

 わたしの元夫のマリユス王子と姉のディアーヌ以外にかんがえられないわ。

 それにしても、物乞いって……。