数年振りに、目の前に現れた毒男は、昔の面影なんか殆ど無くなって、随分と垢抜けた状態で現れたんだ。




 けれど昔のままの変わらない彼の匂いに、懐かしさを感じた。私はきつく抱き締められていた。





 
「会いたくなかった。」



 そう告げた時、彼の顔は酷く哀しげに儚く、困った様に眉尻を垂らしていた。



 酔っぱらいながらも、今見えている人物が、夢・幻じゃないかと何度も確認して赤くなる頬。



 
「そんなに抓ったって、これは現実だよ。」


 と言った男は、昔私に暴力を振るって、傷つけた癖して....




 自傷行為を止めようとするのだ。