彼と出会って間もない頃、
“跡継ぎを孕ませる”
なんて言ってた事を思い出した。
その時は、彼の事なんか
微塵も好きじゃなくって
色々あったが結婚して....
彼との子供が欲しいと思ってしまった。
それなのに、中々出来なくて
悔しくて泣いた事もあった。
「やっと....やっと....だ。」
二人の間に初めて訪れた
倦怠期ってやつ
「バカ詠斗っ!!」
妊娠が発覚して
「気付けなくて悪かった。」
彼が私の元へと
再び戻ってきてくれて
「......よかった。」
捨てられるかもと
不安でいっぱいだった
「よかった....よかった。」
私達夫婦の間に授かった
二人分の命
「杏、絶対に幸せにしてやる。」
「当たり前でしょ!!」
遂に私達は念願の子供を
授かる事に成功したのだった。
「愛してる....。
幸せな家庭を築こう。」
初めて見た詠斗の泣き顔は
一生忘れないであろう。



