この人は雪くんの敵なのに。

みんなから極悪人って言われてるのに。

関わっちゃだめだって、最初に会ったときに思ったのに……。



自分も授業に出れなくなっちゃうのに、どうして?

わたしが離さないでって言ったら、ほんとうに、しっかり離さないでくれる。


ぎゅって握ってくれる。

大丈夫だよって……抱きしめるみたいに。



ぐったりしてろくに頭も回らないのに、心臓だけはしっかりと反応した。


どく、どく、どく……。

この前と同じ……もしかしたらそれよりも早いかもしれない速度で響く。



わたしよりも温度の低い手が

すごくあったかかった。